心地よい棚、心地よい暮らし。一人ひとりの個性が表れる“棚”を起点に、暮らし観を紐解く「私の棚」。第2回はコスメブランド「GOLEM」ファウンダーの川端奈那さんにお話を伺いました。
川端奈那
国内外の様々なクレイの研究を重ね、2022年に素材コスメブランド「GOLEM」をスタート。
著書に『はじめてのクレイケア』。3LDK・4人家族。
Instagram:@nanakwbt
家と一緒に変化できる喜び
「実は棚を一つも持ってないんです。何が自分に合うか分からなくて」
そう朗らかに笑う川端奈那さん。コスメブランド「GOLEM」を立ち上げ、クレイや蒸留水など自然の恵みを生かしたケアを提案する彼女。住まいは東京・三軒茶屋の中心から少し離れた静かな一軒家。
建築家の力も借りながら3年前につくった家は、自然素材を散りばめたくつろぎの空間。家づくりで大事にしたのは、誰かの正解に倣うのではなく、心地よさに素直に作ること。
「みんなが住みやすい家ではなく、私たちが住みやすい家にしたかった。だって心地よいと思えないと、そこにいられないから」
壁に大胆に取り入れた天然石や、靴下越しでも伝わるすべすべとした無垢のフローリング。木漏れ日に目を細めているうちに身も心もふっとほぐれていきます。
「自然のものが多いからか、毎日家の表情が違って面白いんです。ピカピカだった床もみんなが歩いて少しずつなじんできました。おもちゃを落としてできた傷もいい思い出。住みながら家も人も一緒に変わっていく感じがうれしい」
ベンチにも遊び場にも。のびやかな川端家の棚。
どのような棚を選び、収め、飾るか。棚にはその人の暮らしが表れます。冒頭にあったように川端家に棚はなし。強いて言うなら…とそっと示してくれたのは、リビングにある作り付けのカウンター。
壁の端から端まで板を通しており、収納はもちろん、時にベンチや遊び場にも。ライフスタイルの変化に合わせて機能が拡張する心強い存在です。
「元々、子どもが遊ぶために絵本やおもちゃを収納していました。今は工芸品を飾る棚に変わってきましたね。友達が来たときはここに腰掛けてのんびりお酒を飲むことも」
余白を生かして設えた一つひとつは、記憶と結びついています。そこに「おしゃれにしたい」という気負いはなし。出会い、言葉を交わした人を大切に、という川端さんの人生観が表れています。
「丸い土のアートは友人が贈ってくれました。クレイを仕事にしているのでいつも目に入る場所に。カメラは夫のお父さんが残してくれたもの。奥は地元・静岡の陶芸家さんの花瓶。祖母の教え子だったという偶然の出会いがうれしくて」
心と体にしっくり調和する棚
「棚を買うのを躊躇していたのは、使い方が限定される家具を窮屈に感じていたから。でもAIR SHELFは思った以上に自由で、ワクワクしちゃいました」
川端さんのAIR SHELFはベッドサイドに気持ちよさそうに佇んでいました。ミニマルなデザインゆえ、何年も前からあったかのように手持ちの家具にもなじんでいます。
「今までリビングでバタバタとスキンケアしてたけど、丁寧に身支度する時間をずっと作りたかったんです。置く場所を色々と試した結果、寝室に置いたら『ここだ!』って。眺めるだけで幸せな気持ちになれます」
(毎日使うアイテムは奥行きのあるShelf Mに)
頬をほころばせる横顔から、心からお気に入りになったことが伝わります。AIR SHELFを置くだけで、一日のはじまりと終わりがあたたかなものに変わったそう。
「自分に目を向ける時間が生まれました。朝、芳香蒸留水をふわっとまとい、クレイパックを肌にのせ、のんびり読書。夜はここにワインとおつまみを置いて、娘の寝顔を見ながら一日を振り返ることも」
加えてAIR SHELFの機能性が、柔軟さ重視の川端さんにフィット。
「シェルフの数も高さもサイズも、細かなディテールを自分好みにできるなんて。たとえば足元はShelf Sにして、膝があたらないように。人それぞれ身長も違うから、心地よさも人の数だけある。棚を自分の体に合わせられるってこんなにもうれしいんですね」
(耐荷重10kgで鉢も安心
「壁に穴を開けることなくグリーンを上に置けました」)
“みんなが心地よくありますように”
AIR SHELFの想いは、川端さんが手がけるコスメブランド「GOLEM」と重なります。すべての物事は移り変わる。変化のさなかで、自身の正解をその時々で見つけていけたら。
「好きなものも置きたいものも日々変化していく。だから変化に順応できるものが、長く愛用できるものだと思う」
変化できる棚とは、今も未来も一緒に楽しめる棚。日々のやわらかな伴走者として、今日もAIR SHELFは川端家にそっと佇んでいる。
(写真と文:七緒)