心地よい棚、心地よい暮らし。一人ひとりの個性が表れる棚を起点に、正解のない楽しみ方を一緒に考える「私の棚」。第6回は仮住まいの古い一軒家に暮らす、若松由貴子さんにお話を伺いました。
若松由貴子
ヨガインストラクター。企業や地域イベントでヨガの指導を行っている。2児の母。家は築43年の76㎡。
instagram:@yoganoyu
子育てを経て、新たな世界をまなざすように
四方から光が降り注ぎ、爽やかな風がするりと通り抜ける──。ヨガインストラクターの若松由貴子さんは昨年夏、家族の思い出が詰まった一戸建てを手放し、里山の古い家で暮らしはじめました。
「近くに新居をセルフビルドで建てているため、この家は仮住まい。長く住むわけじゃないけれど、内見の瞬間にときめいて即決したのを今も覚えています」
一生住み続けると信じてやまなかった前の家から、ドラスティックに住まいが変化したきっかけは子どもの自立。育児を楽しみ尽くした20年を経て、大切なパートナーと向き合い、新しい一歩を。
「愛犬が天国へ旅立ち、子ども2人も夢を叶えるために自立していきました。素直にかっこいいと思ったと同時に、この先の人生、私たち夫婦のやりたいことも叶えようと決めたんです。自然豊かな場所で暮らしたいな…と頭によぎった時、夫の長年の夢“セルフビルド”を思い出しました」
そうして夫婦ふたりで仮住まいで暮らしはじめて1年足らずですが、何年も住んでいるかのような居心地の良さ。その理由は前の家の愛用家具をそのまま使い続けているから。
「家が変わっても家具が同じなら子どもが帰ってきた時もくつろげると思って、すべて残しました。好きなものばかりだし、17年分の思い出も愛しくて、捨てる必要も新しく買い足す必要もなかったんです。すると家具やラグが今の家にぴったなじんだの。奇跡みたいでしょ?」
もの選びの基準は「心に沿うこと」
思い入れのある家具を愛用し続けることで、仮住まいであっても自身と齟齬のない心地よい暮らしを叶える若松さん。星の数ほどあるものの中から、それほど愛せるものはどう見つけ出すのでしょう。
コツを伺うと「心に沿うかどうかです」と笑顔で一言。
頭だけで判断したり、直感に流されるのではなく、腑に落ちる感覚を大事に。だって心地よさの源は自分自身。ヨガを学び伝える若松さんならではの考え方です。
「"ピン"と来るより、"ストン"と腑に落ちる感覚かな。最終的な決め手は心が教えてくれる」
今、心に沿うものは、手ざわりのある古いもの。DIYが得意な旦那さまが作ったソファやテーブル、実家で使われていたロッキングチェア、親友から譲り受けた古椅子など、縁あるものが自然と集まってきます。
「古いものには人の生きざままで宿る気がして。そういう想いごと大事にしたいんです」
一番お気に入りの棚は、新婚の頃に旦那さまがはじめて作ったもの。前の家では倉庫で眠っていましたが、なんと17年ぶりに本棚として蘇りました。
「ふと試しに置いてみたらリビングにぴったりハマりました。20年近い子育てを経て、ふたり暮らしが再開した時に、メインの棚になったのもうれしいし、長く使い続ける醍醐味も改めて感じています」
住まいが変わっても、長く愛用できる喜び
「10年ぶりに新しく取り入れた家具がAIR SHELF。AIR SHELFを迎えて、暮らしが本当に豊かになりました」
時を重ねたものを愛する若松さんがAIR SHELFに惹かれたきっかけ。それはHPを読んで「新しいものにも人の想いは宿っている」と響いたこと、そして今を起点として長く愛用できると思ったこと。
使い込まれた家具が散りばめられた部屋に、AIR SHELFは自然に佇んでいました。一つは食器棚、もう一つはテレビボード。それぞれ「仮住まいだから仕方ない」と無意識に蓋をしていたわずらわしさを軽やかに取り払ってくれたそう。
まずは食器棚から。陶芸をたしなむ家族の器がたくさんある若松家。棚を置くとキッチンが狭くなるのが悩みでしたが“見せる”と“しまう”が自在なギャラリーのように生まれ変わりました。
「窓辺にこれほどすっきり収納できるなんて、本当に驚きです。オープン棚でさっと取り出せて、すぐにしまえる。自然光が器を照らすことで美しさが引き立ちます。好きなものは眺めていたいから、見せる収納が叶ったこともうれしい」
重い器を載せてもぐらつかない。Shelf M使用
穴を開けて壁掛けにすることもできず、床置きだとくつろぎスペースが窮屈に。テレビボードのモヤモヤもたった1本のAIR SHELFを置いたことで、自然にすっきり。
「場所を取らずに壁になじむように設置できて、配線も隠せてすっきり。私たちのように賃貸で壁を傷つけられない人にぴったりです」
実はもともとPillarの4本セット「テレビボードシェルフセット」をリビングに置こうとしていた若松さん。実物を手にした後、分割アイデアがひらめいたそう。リアルな暮らしに合わせて、後から自由に調整できる柔軟さが伝わってくるエピソードです。
「AIR SHELFは私たちに合わせてくれるんです。ShelfやPillarの数も高さも拡張できて、すっきり収まるから狭くても置ける。それぞれ違う部屋の形、暮らしに寄り添ってくれるAIR SHELFは、間違いなく心に沿うもの。新居でも活躍してくれる安心感があります」
大事に継いできた一つ一つにAIR SHELFが加わり、新しい家へと続いていく。家族とものが織りなすやさしい物語が、これからの人生を彩る未来が目に浮かびました。
(写真と文:七緒)