ここでは、暮らしにまつわる悩みを解決したり、暮らしの変化を楽しんだりする、「誰か」のお話をお届けしています。
「こんな暮らし、いいかも。」とあなたの暮らしを変えるヒントになれば幸いです。
ライター Iさん
在宅ワーカーで2児のママ。念願の一軒家で子どもたちの成長を見守りつつも、自分の時間も大事にしたいと暮らしを試行錯誤中。
カーテンは窓の光を遮るだけでなく、私の心を穏やかに包むもの、だと思った。
自分の目がいき届く家にしたい。だけど…
実家は地方の一軒家で、私たち3姉妹にそれぞれ部屋があるほど大きな家でした。
ただ、部屋の数が多過ぎて、私たち子どもが家を出て行く度、子ども部屋だった場所は持て余され、徐々に物置に。
私の荷物は実家を出て行くときにかなり処分していたのですが、それでも両親が実家を手放すと決まった時には各部屋に荷物が溢れており、両親もかなり苦労していたようです。
思い出の詰まった家がそうなっていく姿を見て、私が家を建てるなら、部屋数はなるべく少なく、自分の管理がいき届くような間取りにしたいなと思っていました。
そんな思いもあり、夫や建築士さんと相談して建てた家は小さいながらもこだわりが詰まっていてとても気に入っています。
特に、二階の広いリビングダイニング。すっきりと開放的で、窓の外には原生林が見える。在宅ワーカーの私はここで仕事をするのが好きです。
ただ、どこまでも目が行き届く、ということは良いことばかりでもなく…。
幼い2人の子どもたちの遊び場もリビングの一角にあるのですが、遊んで散らかしたおもちゃがどうしても目についてしまいます。時には、私のワークスペースまでおもちゃが侵食してくることも。
子どもたちには、最低限のお片付けができれば、あとは自由な発想で遊んで欲しいと思っています。でも、どうしても散らかしたおもちゃが目に入ると気になってしまうんですよね。日中、仕事しているときも母親モードの私が出てきて「ああ、散らかっているな…。」「あとで片付けるように言わなきゃ…。」と心がざわざわしてしまう。
かといって、毎日のように「片付けなさい!」と子どもたちを注意するのは、私も子どもたちもストレスです。
子どものおもちゃと私を、ゆるやかに区切る布
せめて散らかったおもちゃを必要な時だけでも視界から隠すことができれば、私の気の持ちようも変わるのではないか。
ふと、カーテンをつけて子どもたちのスペースを区切るのはどうだろうか、と思いました。
子どもたちもカーテンの外までおもちゃを散らかすことは無いだろうし、視界に入らなければ私も気にならないかもしれない。
色々調べて回り、DRAW A LINE(ドローアライン)のproとclipでカーテンをリビングとダイニングの間にとりつけることにしました。
カーテンは、部屋を圧迫せず、ほどよく子どもたちの気配を感じていたいので、厚い遮光カーテンではなく少し透ける素材がいい。子どもたちが成長して役目を終えたら他の使い方もできそうだなと、折りたたんでサイズを調整するieno textileの14‐23の布をえらびました。
風、音、光…"隠す”だけじゃなかったカーテンの効果
効果は絶大でした。
普段は空間が広く見えるよう開けっ放しに。自分が仕事に集中したいときや、お客さんが来たときはさっとカーテンを閉めるだけで、私のざわざわする気持ちがなくなります。「片付けなさい!」としょっちゅう怒ることもなくなりました。
子どもたちも、カーテンで区切られた中で遊ぶのは秘密基地のようで楽しそう。(中で何をしているのかは少し気になりますが…。)
それに、夜になるとぼんやりと向こうの明かりが見え、リビングダイニングが柔らかな光に包まれるのも、なんだか幻想的でお気に入りです。
昼間もゆらゆらと風に揺れるカーテンと窓を眺めながら作業するのが私の好きな時間になりました。
風や光をやわらかに通す軽やかなカーテンが、季節や時間を感じさせてくれ、穏やかな空間を作り出してくれたんです。
ああ、この布は、単に何かを隠したり区切るだけのものじゃなかった。
朝から晩まで、子どもたちの声や家のあれこれに追われる毎日の中で、「母である私」がいつも最前線にいて、自分の輪郭が曖昧になっていくような感覚が常にあったんです。
でも、このカーテンを引くだけで、私は私に戻れる時間ができました。
風と光をやさしく通してくれるこの布は、忙しさの中にある”小さな余白”を作ってくれる存在。
前よりも肩の力が抜けて、深呼吸がしやすくなった気がしています。
自分の目や手が行き届く家。私は自分のキャパシティに合った今の暮らしがお気に入りです。
そして「カーテン」というシンプルなものが、暮らしの中で感情と結びつくなんて。
こんなふうに、新しい発見や、気持ちとの思いがけない出会いがあるからこそ——
家での生活って、とても面白いなと改めて感じています。
とはいえ、子どもが成長したら、しっかりと区切られたプライベート空間が欲しいと言う日もくるでしょう。
そしてもっと大きくなってこの家を出たら、また夫とふたり。
時間の流れにあわせて、家族の"区切り方”も繋がり方も、きっと変わってくる。
そんな暮らしの変化も、この布のように軽やかに、この先も楽しんでいけたらと思います。