「服はたくさんあるのに、着たい服がない」「クローゼットを開けるたびに気が重い」
そんなモヤモヤを、クローゼットスタイリスト・いっこさんと一緒にほどいていくシリーズ「自分軸で整えるクローゼット」(全2回)。
前編では、かつて1000着の服に埋もれていたいっこさんが、50着まで減らす中で編み出した「服を減らすルール」と、その原点となった体験をご紹介します。後編では、このメソッドに平安伸銅工業の社長・かよさんが挑戦した実例をお届けします。
いっこさん
アパレル業界に24年間勤務したのち、クローゼットスタイリスト/整理収納アドバイザーとして活躍。現在は2人の娘を育てる母として、家族の会話が増える生活導線や心が整う空間づくりを提案している。
nstagram:@ikko_fitlife
ホームページ:ikkofitlife.com
公式LINE:https://lin.ee/O6oPOtbH
クローゼットスタイリストであり、2人の娘を育てるお母さん

アパレル業界で正社員として24年間働き、現在はクローゼットスタイリスト、そして整理収納アドバイザーとして活躍するいっこさん。
洗練されたご自宅のインテリアや、すっきりと整った美しいクローゼットからは想像もつきませんが、実はいっこさん自身、かつては1000着もの服を持ち、片付けに思い悩む一人の「働くお母さん」でした。
今回は、そんないっこさんがいかにして服を50着(実に95%減!)まで減らし、クローゼットを「自分の好きを詰め込んだ私だけの部屋」へと変えていったのか。その転機と、好きを諦めない空間づくり、そして家族を思いやる収納導線のリアルなストーリーに迫ります。
恥ずかしさをエネルギーに! 散らかった部屋をママ友に見られた日
アパレルで長年働き、日々可愛い服に出会う環境にいたいっこさんにとって、服を買うことは毎日をがんばる自分へのご褒美でもありました。しかし、仕事と家事、育児に追われる中、大嫌いだった「洗濯物を畳む」作業が後回しになり、和室の畳の上はハンガーから外された服の山で埋め尽くされていくことに。溢れかえった畳まれていいない洗濯物で、精神的な疲労やストレスも限界に達していました。
そんなある日、次女のスクールバスのお迎えを心配したママ友が、親切にも家の中まで入って娘に声をかけて連れ出してくれたことがありました。感謝の気持ちと同時にいっこさんを襲ったのは、「一番見られたくない部屋の惨状を、親しいママ友に不意打ちで見られてしまった」という強烈な情けなさと恥ずかしさでした。
この出来事から片付けたい「気持ち」が大きく加速。その数年後、体調を崩し休職したことがスイッチとなり、いっこさんのクローゼット改革が幕を開けました。
単なる断捨離ではない。服を手放す中で出会った「本当の好き」
意を決したいっこさんは、まずはクローゼットから1000着もあった自分の服をすべて出し、アイテム別、色別、季節別に分類しました。しかし、実際服を目の前にすると「まだ着られるかも」「いつか使うかも」と迷いが生じやすく、判断に困り実行するのが難しいものでした。断捨離といえば「1年着なかったら捨てる」「不要なものを手放す」といった考え方がありますが、いっこさんも「1年に1回は着ているから」と理由をつけてしまい、服を減らせない停滞期に陥ってしまいます。
そこで編み出したのが、一般的な「捨てるものを探す」方法ではなく、明確な数の制限とポジティブな優先順位付けを取り入れた革新的なメソッドでした。
・ただ「捨てるもの」を探すのではなく、同じアイテム・色の中で「大きな第1位〜第3位」を決める。
・さらにデザインが似ているトップスは「各色最大3枚まで」など具体的な上限を設定。
・1年に1回しか着ない不動在庫は「負の遺産」と割り切り、感謝を込めて手放す。
これらのメソッドで服を減らしていく中で、いっこさんは自分自身の大切なこだわりに気づきます。
「洋服全般が好きだと思っていたけれど、どうしても『アウター』と『パンツ』だけは減らせない。私はこの2つのアイテムが特別に好きなんだ」
そこでいっこさんは、無理にすべてを均等に減らすことをやめました。大好きなアウターとパンツには面積を広く与え、その隙間をTシャツなどで埋めていくというパズルのような発想で、自分の「好き」にはしっかりとスペースを確保することに変更したのです。

服を95%減らしたら、手に入れた私だけの「マイルーム」とプロへの道
いっこさんが最終的に絞り込んだ服の量は、1000着から50着。実に95%もの服を手放したことになります。
服の量が95%減ったことで、嫌いだった「洗濯物を畳む」作業や季節ごとの衣替えなど、服にまつわるあらゆる家事負担が劇的に軽減し、「稼働していない大量の服」というプレッシャーから解放されました。身軽になったことで気持ちも驚くほど軽やかになり、「自分はどんな空間で、どう暮らしたいか」を主体的に、そして前向きに考えられるようになったのです。
「クローゼットを、ショップみたいに素敵な空間にしたい!」
3LDKのマンションで家族4人暮らし。子供たちの部屋はあっても、いっこさん自身には「自分専用の部屋」はありませんでした。多くのママさんが抱える「お母さんって自分専用の部屋がない問題」を、いっこさんはクローゼットを工夫することでハッピーに解決したのです。
壁紙を自分で貼り、大きめの鏡や照明、お気に入りのポストカードを飾りました。1室まるごと用意できなくても、毎朝入るクローゼットを大好きなものだけで満たしたことで、そこは単なる収納場所ではなく、気分を上げてくれる最高の「マイルーム」へと生まれ変わりました。


「服の整理をして、自分の好きな空間を作っただけで、こんなにも思考が変わり、暮らしが楽になるなんて!」
いっこさんが整理収納アドバイザーの資格を取得したのは、この劇的な変化と感動を自ら体感した後のことでした。自分が味わった喜びを多くの人に伝えたいという想いが、現在のプロとしての道を切り拓いたのです。
自分の服から家族の服へ。思いやりの「収納導線」づくり
自身の服を整理して身軽になり、考え方や思考まで変わる感動を味わったいっこさんの熱量は、家族の服にも向かいました。
服の「量」を減らすと同時にいっこさんがこだわったのが、家族一人ひとりの動きをよく観察し、使い勝手をヒアリングして作る「思いやりの収納導線」でした。
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夫専用の身支度導線
夫婦の服が混在して使いにくかったため、ラブリコでDIYを行い夫の洋服スペースをドアから一番近い場所へ独立させました。「一番分量の多いアウターが全て「かけるだけ」の収納にできるように徹底し、夫が最もストレスなく自分で身支度・片付けができる仕組みを作りました。

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娘たちのための境界導線
娘たちが毎日制服を出し入れする和室の押入れは、思い切って襖を外し、IKEAの布(ファブリック)に変えました。開け閉めのアクション数を減らしつつ、生活感を柔らかく隠す工夫です。

このように「家族が使いやすい仕組み」をプレゼントしたことで、朝の「あれどこ?」というバタバタがなくなりました。
あの日の情けなさは、人生を変えた「感謝」へ
すべてが整い、心にゆとりが生まれた今。いっこさんは、あの時不意打ちで部屋に入って次女をスイミングスクールに連れて行ってくれたママ友によくこう伝えているそうです。
「あなたのおかげで、私は今この仕事をしているの。あの時の出来事がなかったら、私はまだ大量の服に埋もれていたと思う。本当にありがとう!」
一番見られたくない惨状を見られたあの日の「情けなさ」と「恥ずかしさ」は、いっこさんの人生を身軽で豊かなものへと大きく変えてくれた、かけがえのない「感謝」へと変わっています。

次回の後編では、いっこさんのメソッドに、かよ社長が挑戦
「好きの順位をつける」「数で持つ量を決める」「“いつか着る”は手放す」
いっこさんが自らの体験から生み出したこのメソッドは、ほかの人のクローゼットでも通用するのでしょうか。
後編では、「服はたくさんあるのに、着ていく服がない」と悩んでいた弊社の社長・かよさんが、いっこさんのメソッドを実際に体験します。
かよさんが服を手放す過程から残した服を活かすコーディネートまで、プロと一緒に進めたクローゼット改革のリアルをお届けします。どうぞお楽しみに!
【自分軸で整えるクローゼット・後編】「服はあるのに着たい服がない!」からの卒業。プロとの伴走で手に入れた、迷わない「自分軸」


