ここでは、暮らしにまつわる悩みを解決したり、暮らしの変化を楽しんだりする、「誰か」のお話をお届けしています。
「こんな暮らし、いいかも。」とあなたの暮らしを変えるヒントになれば幸いです。
ライター 移住計画
最近東京都から京都に引っ越した28歳の会社員。父親が転勤族だったこともあり28歳で8度目の引越しを経験。引越しが多いため常に引越しを考えていることから「移住計画」という名前でSNSを始め、InstagramやXでインテリアや暮らしについて発信している。実は最近、平安伸銅工業の社員になった。
Instagram:@izyukeikaku
X:@izyukeikaku
部屋のこの角度、もう見飽きたな。
なんだか、この間取りじゃもうどうにもならない気がする…。
そんなことを考え始めると、僕の思考はすぐに「引っ越し」へと向かってしまう。
新しい部屋の間取りを眺める時間はもちろん楽しい。でも、その先にある初期費用などの出費を考えると、心は少し重くなる。
「引っ越し」は生活を変える上で手っ取り早い選択だと思っていた。
でもある日、「本当に、この部屋の可能性を使い果たしたんだろうか?」とふと思った。
その小さな疑問から、気分を変えるために大掛かりな「模様替え」を行なった。
その「模様替え」の中の一つの試みが、僕の考えをがらりと変えてくれたので今回はそれについてお話したい。
今回の模様替えで「窓際にあった物をどけて部屋に陽の光がたくさん入るようになった」のもあるが、僕の考え方をがらりと変えてくれたのは、もっと意外な場所。
ウォークインクローゼットの中に、テレビを置いてみたのだ。
before
after
「こうあるべき」という、見えない壁
部屋の中で、最も生活感を醸し出す家電は何か。僕にとっては、それがテレビ。 電源がオフになっている時の、あの黒くて大きな塊。
その存在を、思い切ってクローゼットの中に隠すことで必要な時以外は視界から完全に消すことができた。この変化がもたらした解放感は、想像以上。
部屋はすっきりと静まり返り、思考までクリアになったような気分だ。
なぜ、こんな単純なことに今まで気づかなかったのか。 答えは簡単だった。「ウォークインクローゼットは、服やモノを収納する場所」という、自分自身が作り上げた固定概念に縛られていたからだ。
最近、SNSで「押し入れをデスクスペースにする」活用法を見かける。
あれも同じことで「押し入れ=布団をしまう場所」という縛られた固定概念を誰かが乗り越えたからこそ、生まれたアイデアなのだと思う。
僕たちの暮らしの中には、知らず知らずのうちに「こうあるべき」「こう使うべき」という見えない壁が無数に存在しているのかもしれない。
今回の模様替えは、そんな壁をひとつ取り払ったできごとだった。
そして、この「固定概念を捨てる」という考え方は、空間の使い方だけではなく、モノの選び方にも通じるものがあると思う。
この発見を機に自分の部屋を見渡してみると、知らぬ間に自分は「多様な使い方」ができるモノばかりを選んでいたことに気づいた。
リビングに置いているIDEEの「PUUF」。これはクッションチェアの中でも小ぶりのサイズなので、もしクッションチェアとして使わなくなったとしても普通のクッションやオットマンとして使える、と考えて買った。 カーテンとして使っているのは、ieno textileの「14-23」という一枚の布。カーテンとしてだけでなく、間仕切りにもなり、気分が変わればソファカバーにも使える。 そして、以前の記事でも紹介した「DRAW A LINE(ドローアライン)」のシューズラック。僕はこれを、本棚として使っている。この使い方をしている人を他に見たことがないので、世界中で自分だけの活用術かもしれない、なんて思ったりしている。
モノの用途も、空間の使い方も、固定概念を一枚剥がすだけで、選択肢や視野はぐっと広がる。 一つのモノを、もっといろんな角度から眺めてみる。こういう思考のプロセスそのものが、僕はたまらなく楽しいと感じる。
引っ越す前に、今一度考えてみる
暮らしを変えたいと思った時、安易に「引っ越し」という選択肢に飛びついてしまいがちだった自分。でも、その前にできることがあるんじゃないかと改めて感じた。
引っ越しをしなくても、生活は変えられる。 今の家で、どうすればもっと心地よく暮らせるか。自分の頭で考え、工夫を凝らし、昨日とは違う景色を作り出すこと。
僕にとっては、これが「暮らすがえ」だなと思う。。
自分の暮らし方を自分で考え、今の住まいを最適化していく。
もし、あなたが今の部屋に少しでも不満があって、「引っ越したいな」と考えているなら、
その前に一度、試してみてほしい。
あなたの部屋にある「当たり前」を、一つだけ疑ってみる。 それが、「暮らすがえ」の始まりになるかもしれません。