本記事は、平安伸銅工業の新商品「キャットフリーリー」が生まれるまでの開発企画秘話を、全3部にわたってお届けするシリーズです。
舞台は、なぜか平安本社の畳の上。
社長・カヨさん、商品企画・大川さん、そしてブランドストーリーを手がけた石川さんが車座になって語り合った、その座談会の模様をお伝えします。
第1部は、社長・カヨさんが振り返る、10年にわたる挑戦とお蔵入りの歴史からスタートです。
登場人物プロフィール
カヨさん(竹内香予子):平安伸銅工業 代表。子供の頃からネコちゃんと暮らしてきた筋金入りのネコちゃん好き(現在は猫アレルギーのため見る専 専門)。
大川さん(大川昌輝):平安伸銅工業 スタッフ。ネコちゃんを飼ったことはないが、10数人のネコちゃん飼いさんへのヒアリングを重ねてキャットフリーリーの企画を推進した。
大川: カヨさん、そもそも平安伸銅って、ネコちゃんとどのくらい長い付き合いなんですか?
カヨ: 付き合い……(笑)。もう、さかのぼれないレベルの話ですよ。うちの祖父が創業者なんですけど、めちゃくちゃネコ好きで。歴代ずーっと家にネコちゃんがいるんですよ。ノー猫ノーライフの家でした、ほんまに。

大川:へ〜!カヨさん自身も?
カヨ: 子供の頃からずっとネコと一緒に育ちました。ネコに噛まれ、引っ掻かれ、完全に下僕として扱われながら(笑)。ただ、社会人になってからネコアレルギーになってしまって、今は飼えてないんですけど。
大川: でも、そういうルーツがあったから、会社としても「ネコのための何か」を作りたい、という気持ちは自然にあったんですね。
カヨ: そうなんです。で、2011年から「開発会議」というのを始めて。それまでは一部の開発担当だけが商品テーマを提案する会社だったんですけど、全社員が自分の生活課題から欲しいものを出し合う場を作ったんです。
そこで、当時のエンジニアの方が言ったんですよ。「突っ張り棒の技術を使って、キャットタワーができるんじゃないか」って。
大川: もう、その時点でアイデアが出てたんですね!
カヨ: 自転車ラックとキャットタワーは、突っ張りの水平展開として、「絶対やったほうがいい」って声があって。でも当時は技術的な課題や販路の問題があって、「私たちがやる必要ないんじゃない?」となって……お蔵入りに(苦笑)。

そのお蔵入りから数年後。今度は、DRAW A LINEを一緒に立ち上げた時にも、ネコちゃんの企画の話が...。
大川: DRAW A LINEを出したときに、ブランドのデザインを担当したTENTさんが「これ、絶対キャットタワーにしたらいい!」って言い出したんですよね。

カヨ: そうなんです。それを企画としてスケッチにしたのですが、まさかそれが2019年のBRUTUSの雑誌に載っちゃったんです!まだ試作段階なので、なぜか「発売予定」として載っちゃって(笑)。

大川: 発売してないのに(笑)!
カヨ: 「発売予定」って書いてあって、めちゃくちゃ反響があって。「市場は待ってるぞ!」状態で(笑)。
大川: その後も数年経って、またBRUTUSに掲載されて、2回も雑誌にも載ったんですよね。
カヨ: そのたびに反響があるんです……。でも、技術的な課題をどうしても越えられなかった。DRAW A LINEの「線の細さ」が美しさなんですけど、そのままではネコが乗るための強度が保てない。かといって安全性を優先するとゴツくなり、市場に出ている普通のキャットタワーと同じになってしまう。
大川: デザインと機能の間で、ずっと板挟みに。
カヨ: でも、「これが欲しい」っていう声は、ずっとあり続けたんです。その後、ラブリコでも挑戦して。ネコの専門家の先生に2〜3人ヒアリングして、「高いところが安心感になる」「視線を避けられるとストレスが減る」って教えてもらって、試作までいったんですけど……。

大川: またお蔵入りに(泣)。
カヨ: なんか、ニッチすぎたんかな、みたいな議論になってしまって。ラブリコって、汎用的でいろんな用途に使えることが大事なので、「専用品は違うんじゃない?」という方向性になった結果、ネコちゃんの専用品路線はいったん立ち消えに。
大川: でも、これだけの「思い」と「期待」が積み重なっていた。だからこそ、次の「キャットフリーリー」に繋がっていくんですよね。
カヨ: そうそう!真打登場、満を持して、っていうやつです(笑)。
次回・第2部では、そのキャットフリーリーがどのように生まれたのか——企画担当者の大川さんによる徹底的なユーザーヒアリングの裏側に迫ります。
第2部|ネコ飼いさんのリアルな声から生まれた——キャットフリーリー企画秘話
〜企画者・大川さんが語る、ネコ飼いさんとの対話から見えた「隠れた本音」〜






